これは、10代の頃からコンクールで数々の輝かしい成績を取ったヴァイオリニスト諏訪内晶子さんが20代の時に書いた本。
コンクールに挑んでいた頃のことから、コンクール人生を卒業してヴァイオリニストとして歩み出した頃のことが書かれている。
ヨーロッパやアメリカなど海外での体験談、日本で育ったことで違ってしまう音の話、体格の差がヴァイオリンの音色に関係するなど、興味深い。
コンクールではどれだけ正確にミス無く弾くかが大きな課題であったが、お客さんに聞かせるヴァイオリンは違った。
どれだけ曲を理解し、作曲者の意図を汲み、自分にしか出せない音で演奏するのか。
「楽譜としては弾けていても、まだ音楽としては弾けていない」
の言葉にぐっときた。
音楽とは深いのだね。
楽譜としても弾けていない自分には、へえーとかほうーとか感心するばかり。
一つびっくりしたのは、演奏家の音がヴァイオリンに宿ってしまうという話。
他人のヴァイオリンを借りて演奏すると、持ち主の音色になってしまうのだって!
ピアノには、そういうのあるのかなあ???